慈泉会本部

本部長 塚本建三

 

1.概要

 慈泉会本部は慈泉会ミッション・ビジョンを踏まえて、慈泉会全体としての総合力を最大限発揮できるよう、適切なガバナンスを行う組織である。

 今年度の組織変更の主なものは、2016年2月に「医療連携センター」を本部へ設置し、その傘下に「地域医療連携室」「医療福祉相談室」を設置したこと、経営戦略部の傘下にあった財務・管財課を財務部として独立させ、傘下に財務・管財課と、購買管理課を設置したことである。その他は、総務部内の相澤東病院開設準備室が、2016年2月の相澤東病院の開設に伴い廃止されたこと、総務課と経理・購買管理課のうち財務部に移管した購買管理課に替えて、施設を合わせて総務課(経理・施設)としたことが組織変更の概要である。

 

2.今後の方向

 理事長は2016年年頭挨拶に於いて以下のように述べている。

 

 本年は、2025年のあるべき医療提供体制の構築に向けての改革が本格的に一歩を踏み出す年です。高度急性期病床と急性期病床および慢性期病床を減らし、回復期病床を増やすとともに在宅医療を充実させ、地域包括ケアシステムを構築することを目指し、診療報酬が改定され、地域医療構想の策定が始まります。
 慈泉会はこの20年、時代の要請に応えて、地域において供給が十分ではないと考えた医療・介護を提供するために、規模を約5倍に拡大し、業務を多様化してきました。
 しかし、人口減少少子超高齢多死社会を目の前にした我が国の政府は、財政再建の観点から社会保障費の削減に踏み切り、医療と介護の給付費の抑制を大命題として取り組んでいます。政府は、この命題を解決する方策の一つとして、フリーアクセスの下に誰しもが気安く利用してきた医療・介護を大きく変えようとしています。慈泉会はこれまで、地域の医療・介護の充実のためによかれと思う道を一途に邁進してきましたが、本年からは医療・介護がおかれた環境の変化を十分に認識して、進むべき道を考えなければならないと思います。急性期医療を核として構築してきた医療・介護のこれまでの有り様と組織を、高度急性期から急性期・回復期・地域包括ケア・住まい・住まい方までを統合的に担う組織へと変えて行くことが我々には求められていると考えるべきでしょう。
 一方で、急速に規模拡大と業務の多様化を図り、肥大化・専門分化した慈泉会自身の問題も改善しなければならなりません。急速に発展・拡大を遂げた組織が共通して抱える問題ですが、慈泉会本部・相澤病院・地域在宅医療支援センター・相澤健康センター・医学研究研修センターの事業体間の関係が疎遠になってきたばかりでなく、各事業体内においても職種・職位間及びチーム内の連携と協働が機能しなくなりつつあります。慈泉会は情報の共有化を目指して情報を職員に公開していますが、情報は提示するだけでは何の役にも立ちません。情報を「理解しようとしない」、「理解してもらおうとしない」、職員の「ぶら下がり現象」があるかぎり、まさに「猫に小判」状態であるといえます。機能分化が進んだ組織が共通に抱える問題点に、自らが属する部署の直接的課題以外には関心を持たず、関わりを避けるという思考と行動の「蛸壺化現象」があります。これら二つの現象が著明となった組織は、衰退の道をたどるといわれており、慈泉会はこの危機に直面しています。事業体として新たに相澤東病院が加わることにより、この危機が更に増大する可能性が高くなると推測されます。組織体制・ガバナンスの仕組み・規定・手順など形は整えられ、マネジメントの方法も定められましたが、それらを真に機能させるための基盤整備、すなわち同じ組織で仕事をする仲間として、相互に「理解しようとする姿勢を持つこと」と「理解をしてもらう努力を行うこと」の重要性を認識して、職員が相互に仕事の仲間として認め合い理解し合うことが重要となります。国が推し進める医療・介護の改革の方向は、患者や利用者の「完全なフリーアクセス」や医療・介護の提供側が提供しようとする「やりたい医療・介護」について、医療介護の計画を地域が立案・実施することで緩やかな制限を行い、医療・介護の給付費を抑制しようとするものと考えられます。国や地域の計画に沿った医療・介護を提供していなければ、いくら頑張って努力しても報われない状況が生じると予想されます。慈泉会においても、これまで以上に国や地域の計画に着目して、医療・介護の資源の集約化・集中化を推進することが必要となります。さらに、2017年には2018年からスタートする新たな医療計画と介護保険事業計画が策定されることも十分に認識して、2016年度の計画は策定しなければならないと考えています。

 

 これは、理事長が慈泉会の今後に向けて取り組むべき課題を、役・職員全員に向けて、各人が全力を挙げて取り組むべき方向を示したものである。慈泉会をこの方針実現に向け、あるべき方向にリードすべき慈泉会本部としては、本部役・職員全員がこの方針を拳々服膺し、ベクトルを合わせて取り組むことが要請されている。

 

 

「組織図」