メッセージ

 

 

 日本の少子高齢化人口減少社会の進展は、医療・介護を取り巻く環境が将来大きく変化することを示唆している。特に75歳以上の高齢者はその特徴を捉えた医療・介護の対応が必要であり、75歳以上の医療・介護需要は確実に増加することを考えなければならない。さらに、医療・介護の連携はもちろん、住まいや住まい方までも考えた生活支援も極めて重要となる。一方で64歳以下人口の減少は従来の医療需要が減少することを示唆しており、減少する医療へどのように対応すべきかを考える必要がある。また、人口が減少して人口密度が薄くなる松本広域圏においては、都市機能を松本市中心区域に集約させる「中核拠点」と住宅や集落が散在する地域で生活に必要なサービスの担い手を効果的に集約する「小さな拠点」がネットワークにてつながり、人口減に耐えうる都市や地域の形成という発想の街づくりを行うことが必要になっている。
 このような社会の大きなうねりを捉え、将来を見据えた結果、慈泉会はミッションとビジョンを本年は見直すべきであると判断し、見直しを行った。しかし、初年度のためかミッション・ビジョンの周知徹底が不十分であり、ビジョン達成のための課題抽出や設定、さらには目標設定や計画策定にも十分な時間を割くゆとりがなかったことなどから、思うような成果が得られなかった。また、新人事制度への移行や企業年金の新たな仕組み構築等いくつかの重要な解決すべき課題が次年度以降に持ち越されたため、職員の皆さんにとっては、将来の夢が描きにくい状況になってしまったと反省する年でもあった。しかし、一方では職員の皆さんの努力により、未来に向けての前向きな一歩が何とか踏み出せた1年でもあり、次年度以降の成果が期待できる状況は作り出せたと思っている。
 1年間の職員の皆さんの奮闘に心から感謝したい。

 

社会医療法人財団 慈泉会 理事長 相澤孝夫