消化器内科

統括医長 山本智清

 

1.ビジョン

 常に良質な医療を志向し、機能的で活力のある、かつ持続可能なチーム医療を行う。

 診療は、日常の検査業務に加え緊急・救急の消化器内視鏡検査・処置に対応できる体制の整備

 消化器Cancer Boardや消化器内科カンファレンスといった医師間のみのカンファレンスだけでなく、病棟カンファレンスで医師と他のコメディカル職員間での情報共有を推進し、個々の症例に対して最善の医療を検討し、提供する。

 臨床指標・ベンチマークの活用に関しては、医療の質担保だけでなく、今後の積極的診療展開を戦略的に行うためにより効率的に行えるシステムを確立する。

 

2.サービス内容

 消化器疾患の外来診療および、消化器疾患と一般内科疾患の入院診療を行っている。
 当科の診療内容は消化器領域全般にわたっており、消化性潰瘍に対する内視鏡的止血術やヘリコバクターピロリ除菌療法をはじめとし、ダブルバルーン小腸内視鏡を用いての小腸ポリープ切除や、消化管再建手術後症例のERCP、炎症性腸疾患に対する抗TNF-α製剤、顆粒球除去療法、超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診(EUS-FNA)など、本邦で行われている消化器関連の治療のほぼすべてを網羅している。また、当科でおこなわれる治療としては消化器内視鏡センター内で行われる内視鏡下での治療が多いが、内視鏡治療だけでなく、がん集学治療センター内で、胃癌や膵癌、肝胆道系悪性疾患に対する化学療法も行っている(有害事象が強いレジュメについては、がん集学センター専属医師に依頼している)。

 

3.構成・提供体制 (2016年4月時点)

消化器内科 医師数  13名
(内訳:名誉センター長 1名 センター長 2名 統括医長 1名 副センター長 1名 医長 2名 医師 5名 後期研修医 2名)

 

院外資格保有者数 : (重複あり)

日本消化器病学会指導医:4名
日本消化器病学会専門医:9名
日本消化器内視鏡学会指導医:4名
日本消化器内視鏡学会専門医:8名
日本肝臓病学会専門医:2名
日本内科学会総合内科専門医:4名
日本内科学会認定医:12名

院内資格保有者数:

主治医資格:8名
画像一次読影資格:9名
麻薬処方資格:13名
抗悪性腫瘍剤処方資格:9名
鎮静資格:12名

 

外来体制:月曜日~金曜日の外来診療 
入院体制:主には3S病棟(61床)
内視鏡センターにおける消化器内視鏡を用いた診療
ERおよび、各診療科からのオンコールへの対応オンコール体制

 

 入院診療に関しては、新規入院患者の治療方針確認を毎日昼のカンファレンスで必ず行っている。またチーム制を敷いており、3チームを有する。それぞれのチームは主治医権を有する医師(関連学会の指導医資格保持者)をチーフとし、スタッフ医師(関連学会の専門医資格保持者)と後期研修医の3名で構成されている。

2016年度 チーム 編成
 山本-藤元-雄山
 横澤-西条-稲場
 手島-細川-杉井

 チーム単位で毎週多職種参加のカンファレンスを行っている。また消化器領域の内視鏡予定治療症例については、術前カンファレンスを内視鏡センターのコメディカルと毎週行い、情報の共有に努めている。また、緊急処置を要する消化器疾患に関しては常時医師2名体制でのオンコールとし、ERからの診療要請に迅速に応えられるようにしている。
 地方都市の中核病院における消化器内科として、地域住民の方々の健康に貢献することを第一の責務と考えているが、同時に今後の疾病構造の変化も予想してそれに対応するべく、当科としては主に ①大腸癌スクリーニング ②炎症性腸疾患の診療の最適化 ③膵臓癌の早期発見 の3点に重点的に関わる方針としている。この目標を担保するには我々スタッフの技術向上が必須であり、その目的のためと関連部門との連携を密にするため、各カンファレンスを以下のように行っている。特に今年度から、膵癌の早期発見を目的として膵嚢胞カンファレンスを新たに開始した。スタッフの技術向上については、そのスタート地点である後期研修医の教育についても重要と考えており、2016年度に関しては後期研修3年目にあたる稲場医師に3ヶ月間の病理ローテーションを行わせた(この間、病理研修に集中するため、病棟担当を一時的に外し、週1回の外来と週1回の内視鏡検査枠以外は病理研修専属とした)。

 

新規入院カンファレンス・・・平日昼(毎日)
内視鏡-病理 合同カンファレンス ・・・毎水曜朝
病棟他職種カンファレンス・・・(各チーム毎 1回/週)
消化器Cancer Board ・・・毎木曜朝
消化器内科カンファレンス ・・・毎金曜日
内科合同カンファレンス ・・・毎月曜日
CTC 読影カンファレンス ・・・毎月曜夕
膵嚢胞カンファレンス ・・・月1回 第3(4)火曜日

 

<カンファレンススケジュール>

 

内科全体Cf

 

内視鏡Cr

Cancer Board

消化器内科Cf

AM

 

横澤チームCf

山本チームCf

手島チームCf

 

新入院Cf

新入院Cf

新入院Cf

新入院Cf

新入院Cf

CTC読影会

膵嚢胞Cf(月1)

 

 

 

 

4.主要設備・機器

主要設備:

利用病床:3S病棟(49床)
外来診察室2室  内視鏡センター内診察室1室
消化器内視鏡室:6室 内視鏡センター 回復室 4床 内視鏡センター透視室:2室
放射線科透視室:1室

 

主要機器:

病棟用超音波検査装置 :1台
内視鏡センター機器(詳細は内視鏡センター年報を参照)

 

5.実績(2016年度)

消化器内科(内視鏡含む)

入院患者数 2396名(在宅復帰率 87.7%)

大腸CT(CT colonography) 読影 70件/年

2016年度 内視鏡検査(いずれも健康センター分を含む)

上部消化管内視鏡21142件、下部消化管内視鏡5190件、ERCP372件

 

6.学術・研修

<学会発表>

(稲場 淳)

繰り返す発熱と下腹部痛を契機に診断に到った家族性地中海熱症の1例
2016年6月 第138回 内科学会信越地方会

 

(五十嵐 亨、山本 智清、横澤 秀一)

当院における針状ナイフ乳頭切開術の有用性と安全性
2016年11月 日本消化器病関連学会週間(JDDW) 2016、神戸市

 

(西条 勇哉、山本 智清、横澤 秀一)

表層型胃MALTリンパ腫に於ける、H.pylori感染の有無による内視鏡所見の差異についての検討
2016 年11月 日本消化器病関連学会週間(JDDW) 2016、神戸市

 

(藤元 瞳、山本 智清、手島 憲一)

当院における大腸ステント挿入症例の検討
2016年11月 日本消化器病関連学会週間(JDDW) 2016、神戸市

 

(山本 智清、手島 憲一、五十嵐 亨)

消化管粘膜下腫瘍に対するEUS-FNAと切開生検法の診断能
2016年11月 日本消化器病関連学会週間(JDDW)2016、神戸市

 

(細川 洋、薄田 誠一、清澤 研道)

HIV感染者に急性B型肝炎を発症した1例
2016年11月 第59回 日本消化器病学会甲信越地方会

 

(稲場 淳)

胃底腺型胃癌の1例
2017年3月 第20回日本病理学会中部支部会

 

<論文・著作>

薄田 誠一.B型肝炎 ナースのための肝炎看護ハンドブック 清澤研道編 医薬ジャーナル社p136-148.

 

山本 智清.

嘔気嘔吐  臨床医マニュアル(第5版) 臨床医マニュアル編集委員会編集 東京  医歯薬出版株式会社 p414-417

腹痛 P418-422 急性腹症 p920-923 IgG4関連疾患 p1228-1231
急性膵炎 p1251-1256 慢性膵炎 p1256-1260 膵嚢胞性腫瘍 p1260-1262
膵臓癌 p1262-1266

 

横澤 秀一

胃食道逆流症 臨床医マニュアル(第5版) 臨床医マニュアル編集委員会編集 東京  医歯薬出版株式会社 p944-946 

食道胃静脈瘤 p949-954 胃癌 p971-974 食道癌 p955-961

 

手島 憲一 

大腸ポリープ 臨床医マニュアル(第5版) 臨床医マニュアル編集委員会編集 東京  医歯薬出版株式会社 p1040-1042

大腸癌 p1042-1047 胆嚢癌 p1241-1243

 

藤元 瞳

消化性潰瘍 臨床医マニュアル(第5版) 臨床医マニュアル編集委員会編集 東京  医歯薬出版株式会社p961-967
NSAID起因性胃腸障害 p975-979 急性胆管炎 p1235-1239

 

西条 勇哉

マロリーワイス症候群  臨床医マニュアル(第5版) 臨床医マニュアル編集委員会編集 東京 医歯薬出版株式会社p947-949

 

手島 憲一

便潜血陽性から診断に至り, 殺組織内アメーバ薬で治療困難であった赤痢アメーバの一症例についての検討. 相澤病院医学雑誌 14:p23-27

 

神谷 圭祐、細川 洋

著明な白血球増加を示し急激な経過をたどったG-CSF産生退形成性膵癌の1剖検例
相澤病院医学雑誌 14:p41-45