メッセージ

 

 

 2018年は、相澤曾兵衛が松本の地に相澤医院を設立してから110年目となる節目の年であった。また、慈泉会の発展に長年ご尽力いただいた小林、塩川理事と髙橋監事が退任され、大久保副健康センター長が退職されたことから、将来に向けた慈泉会の強化策をとることとなり、相澤(克)理事、林部監事が選任され、評議員4名が増員された。2017年から始まった慈泉会改革を軌道に乗せるための確固たる基盤を創る1年として、本年度は様々な事業がなされた。
110周年記念事業としての記念誌には、阿部長野県知事、菅谷松本市長、横倉日本医師会長をはじめとする多数の方からのお祝いの言葉を頂き、掲載できたことは大変うれしいとともに期待の大きさを実感し、身の引き締まる思いとなった。また、110周年記念式典にご列席いただいた多くの皆様からも祝福とともに激励もいただき、関係各位に心から感謝と御礼を申し上げたい。
 2018年は、将来基盤を創るための1年であることを意識して、2017年に策定したミッション・ビジョンの基軸は変えずに表現のみを変え、衆人が想像し易い将来像を描いて、明示した。
 慈泉会本部は、マスタープラン策定に取り組んだが、プランの制約因子が多くプラン策定に難渋している。3棟目となるサービス付き高齢者向け住宅の計画が進行中であり、高齢者が増える地域づくりの一環としての高齢者向けの住宅供給に役立つことを期待している。慈泉会発展の大きな要因でもあった地域医療連携については、連携に協力をしてくださった関係各位への感謝の気持ちを込め、医療連携センター20周年記念式典を行うとともに、病院間連携や地域包括ケアシステム構築に伴う医療・介護連携のさらなる推進に取り組んだ。働き手世代の人口減少に対応するための働き方改革は、適正な労務管理と進化した人財マネジメントを必要とし、2017年に始まった新たな人事制度の運用の安定化と伴に時代に見合ったマネジメントの改善を同時に行わなくてはならない難しい事態となっている。更に、夜間勤務者の減少(時短やパート希望職員の増加)があり、病院に必須な24時間勤務体制を維持することすら困難となっているため、早急な解決が求められている。しかし、急速に職員の増員を図ることも難しく、早急に行うべきは、組織体制の変更を含めた新たな組織マネジメントの戦略を構築することである。2018年4月に医療・介護報酬の同時改定がなされたが、この改定を少しでも慈泉会の収入増につなげようと職員が一丸となって対応してくださったことを大変うれしく思うとともに頼もしくも感じた。奮闘してくださった職員の皆さんに深謝したい。
 相澤病院は、3TMRIの増設、カテーテルアブレーション治療の開始等新たな医療に取り組むとともに、ICU,ECU,HCUの再編や一般病棟の再編に取り組んでいる。また、特定行為に係る看護師や病院総合医の養成にも取り組み、タスクシフトや働き方改革などの制度改革に備えようとしている。更に、JCI認定更新(3回目)受審、病院機能評価更新(5回目)の受審があったが、忙しい仕事の合間を縫ってしっかりと対応してくださり、更新を無事成し遂げることが出来た。奮闘してきださった職員の皆さんには心から感謝する。来年度の災害拠点病院の指定を目指してBCPを策定したことも特記すべきことであると思う。
 相澤東病院は、自宅からの直接入院患者を受け入れるために12床を増床するとともに、患者ばかりでなく患者家族や地域の住民が利用できるサロンを造るなどの増築工事と増床に係る職員体制の整備などを行った。この結果、2019年2月より12増床での運用が開始された。急性期後の患者を受け入れるだけではなく、入院が必要となった在宅療養患者の受け入れ機能を充実強化することによって地域包括ケアの中核的病院としての機能を十分に発揮してほしいと願う。また、退院支援を強化して退院後の訪問看護等を拡充させることや出前講座の定例開催や訪問診療が必要な患者さんへの訪問促進等に取り組み、確実な成果を挙げている。これからの更なる発展が期待される。
 相澤健康センターは、特定健診指導の拡充を図るとともに、がん検診デイを設けたり新規ドックを開発したり等の工夫を重ね、これからの時代に選ばれる健診施設を創ろうとしており、成果が出ることを期待している。
 地域在宅医療支援センターは、松本中央地域包括支援センターの受託に応募して受託を勝ち取り、3月より運営を開始した。2か所目の包括支援センター受託であり、在宅における医療・介護・福祉・予防の総合的サービスを地域在宅医療支援センターと協働して促進してほしいと願っている。また、相澤地域在宅医療支援センター安曇野における通所系サービスの開始について検討を開始しており、今後の進展が期待される。
 慈泉会は、急性期医療から生活支援までの様々なサービスを統合的に提供できる体制を構築しているが、事業体間や職員間の協働・連携による総合力の発揮はいまだ十分ではない。慈泉会が総合力を生かした機能をいかんなく発揮することが、安心してその人らしく暮らし続けることが出来る松本地域を創ることになると私は信じている。
本年は、将来に向けての基盤がある程度整備出来たと思っている。この基盤を基に、慈泉会・職員が一丸となって夢のある未来の創造に向けて邁進して欲しいと願っている。



 

社会医療法人財団 慈泉会 理事長 相澤孝夫