救急科
統括医長 吉池昭一
1.ビジョン
救急医療は、地場産業であり、相澤病院独自の救急医療の提供の仕方がある。
現在までは、救急部門に特別な力を注ぎ24時間365日患者を受け入れる方法を取り入れてきた。
上記ビジョン達成に向けて病院全体としての機能を考えたとき、今後はさらなる各専門科の先生方の支援を頂き、院内総力戦で24時間365日救急患者の受け入れ・対応を行っていく必要がある。
<ER機能>
24時間365日門戸を広げた断らない相澤型救急医療の充実を図る(軽傷~重症患者受入)。
- 量と質の両方を追求することは難しいが、相澤型ERはそれに挑戦する(患者は断るな)。
- 患者本位の医療とする。すなわち、患者背景を十分理解した上での対応を心掛ける。
- 教育の充実(地域の中核病院として、teaching hospitalとしての自覚を持つ)。
- 救急医療から救急医学への昇華。
- Walk-In患者への対応。
<救命救急センター機能:>
地域の最後の砦としての救命救急センターの機能の充実を図る。
- 地域包括ケア構想における救命救急センターの役割
相澤病院救命救急センターは、本来培われてきた日本の救命救急センターとは一線を画し重症度に関係なく患者の受け入れを行っている。
一次・二次救急に関し、救急告示病院と提携して下り搬送のルール化を進める。
→ 看護師・救急救命士の作業部会への参加。
→ 相澤病院独自のドクターカーの運用。
・現場救急・転院搬送を含め当院救急救命士の役割が重要。 - 重症患者の対応:蘇生室の充実を図る(各科診療科と連携も含め)
→ ER医師・看護師 … 適切な人員配置。
→ ER事務課の役割 … 危機管理。
→ ハード面の整備。
→ 県警・防災ヘリとの連携。
・山岳救急への展開
→ 重症患者を受け持つ蘇生後のフィードバック。 - 集中治療管理の展開
→ 救命救急センター指定の10床の明確化
→ EICUの導入・ハード面の整備。
→ 院内急変対応(24時間365日体制で救急医が常駐しており蘇生術にリーダーとして存在していく)
→ 救急医学科が主治医となる患者の個性として多職種(看護部・薬剤部・栄養科・リハビリ・MSWなど)での情報の共有、チーム医療の実践。
<全体>
- 上流から下流への転院搬送システムの構築を図る。
- 地域住民への啓蒙活動(限りある医療資源の適正利用を呼び掛ける)
→ 院外ホームページの活用方法を検討。 - 院内の消防・防災訓練の展開(BCPの把握)。
- 経営的な側面からDPCⅡ群を目指す → 救急分野として重症患者の確保。
- 救命救急センター独自での医師・看護師の募集活動。
→ 医師は、初期研修医のからの獲得。
→ 院外ホームページの更新。救急科後期研修医プログラムの見直し。
→ 医学部学生・看護学生から勉強会の開催等実施。勧誘。 - 多職種(事務・アシスタントなど)の配置及び連携強化を図ることにより、さらなる質の向上を目指す。
- 2021年 日本医療機能評価機構 「救急医療機能」 付加機能評価受審予定。
2.サービス内容
- 通常の診療時間外の傷病者及び緊急的に医療を必要とする傷病者
- 発症が通常の診療時間外であればすべて救急患者とする
- 通常の診療時間内であっても、発症後間もない又は経過の速い変化・及び急激な変化を伴う傷病者は救急患者とする(紹介患者も同様)
このような救急患者などに対して、北米型ERのスタイルを取り、JTASを利用してまず迅速・的確に緊急度・重症度判定をおこない、必要な初期治療を素早く行なう。診療時のCT・MRI所見の放射線科読影を確認し適切に対応する。
3.構成・提供体制
24時間365日運営(松本二次医療圏の二次救急輪番制対応)
- 救急医 … 二交替勤務体制(日勤:9:00~17:30 夜勤:17:30~9:00)
- 初期研修医 … 日勤及び夜勤
- 準夜帯支援医師 … 月 水 金 17:00 ~ 21:00 1名
- 各科後期研修医当直支援 … 17:30 ~ 9:00
- 土・日・祝日日勤帯支援医師 … 9:00 ~ 17:40 1~2名
<スタッフ構成>
医師数 12人
内訳 統括医長1名、医長5、後期研修医3名
<資格>
日本救急医学会指導医:1名
日本救急医学会専門医:5名
日本脳神経外科学会専門医:1名
日本外科学会専門医:2名
日本整形外科学会整形外科専門医
麻酔科専門医:1名、麻酔科標榜医:1名
4.設備・機器
救命救急センター一括表示
5.実績
救命救急センター一括表示
6.学術・研修
<書籍(単著)>
山本基佳: ER必携 救急外来Tips 1121. 日本医事新報社. 2017年4月23日(ISBN-10: 4784946055).
<記事>
診療の「落とし穴」紹介 相澤病院の山本医師が出版. 医療タイムス. 2017年6月10日. 第2626号.
<依頼原稿>
山本基佳. 他職種から見た臨床工学技士. NCE NEWS. 2017; 7:7.
山本基佳. ERで研修を行う先生方へのメッセージ ~「ER必携 救急外来 Tips 1121」の紹介~. 松本市医師会報. 2017; 588:12-4.
<論文>
Toru Koyama, Takeshi Kashima, Motoyoshi Yamamoto, Kenjiro Ouchi, Takayuki Kotoku,and Yuta Mizuno
A study of the effect of introduction of JTAS in the emergency room
Acute Medicine & Surgery 2017; 4: 262-270
Yamamoto M, Koyama T, Agata M, Ouchi K, Kotoku T, Mizuno Y. Diagnosis of Ingested Foreign Body in the Stomach by Point-of-Care Ultrasound in the Upright and Slightly Forward Tilting Position (Bowing Position). Pediatr Emerg Care. 2017; 33(5): 365-6.
<論文(指導)>
濱﨑真夏, 山本基佳, 宇根範和, 樋口佳代子, 山本智清. 入院経過中に絞扼性腸閉塞に進行した消化管外アニサキス症. 日本救急医学会中部地方会誌. 2017; 13:8-11.
阿部拓朗, 山本 基佳. アデノシン三リン酸の急速静注により誘発された気管支痙攣の1例. 相澤病院医学雑誌. 2017; 15:59-62.
阿部 拓朗, 山本 基佳, 小平 博之. 軽微な受傷機転で生じた転位を伴う大腿骨骨幹部疲労骨折の1 例. 相澤病院医学雑誌. 2017; 15: 55-7.
前澤 俊憲, 山本 基佳, 吉池 昭一, 小山 徹. ER で遭遇する CRP 著明高値の診断的有用性. 第45回日本救急医学会総会・学術集会(2017年10月25日 大阪)学生・研修医セッション 優秀口演賞 受賞
<学会発表>
小山 徹, 鹿島 健, 松原 千登勢, 山本 基佳, 大内 謙二郎, 水野 雄太. 救急外来を walk-in で受診したくも膜下出血の検討-トリアージの観点から. 第45回日本救急医学会総会・学術集会(2017年10月25日 大阪)
吉池昭一, 朝見正宏, 柴田俊一, 小山徹. 多発肋骨骨折に対し保存的加療を施行した遅発性血胸の1例. 第45回日本集中治療医学会,2018年2月21-23日,千葉幕張メッセ
菅沼 和樹, 水野 雄太, 白戸 康介, 山本 基佳, 小山 徹. インスリン大量自己注射によって低血糖が5日間遷延した一例. 第20回日本救急医学会中部地方会総会・学術集会(2017年11月18日 高山)
白戸康介, 小山徹, 山本基佳, 鹿島健, 松原千登勢, 菅沼和樹, 大内謙二郎, 水野雄太, 吉池昭一.子宮外妊娠における所見と診断的意義の検討. 第45回日本救急医学会総会,2017年10月24-26日,大阪.
白戸康介, 山本基佳, 菅沼和樹, 水野雄太, 小山徹.初診時に完全房室ブロックを併発していた消化管穿孔の一例. 第20回日本救急医学会地方会学術集会,2017年11月18日,高山市民文化会館.
朝見正宏, 吉池昭一, 松原千登勢, 川倉健治, 恒元秀夫, 小山徹. 腹部大動脈瘤に合併した深大腿動脈瘤破裂の一例. 第45回日本集中治療医学会,2018年2月21-23日,千葉幕張メッセ
水野 雄太, 白戸 康介, 菅沼 和樹, 山本 基佳, 小山 徹. 重度低体温症を合併した滑落外傷に対する輸血戦略. 第20回日本救急医学会中部地方会総会・学術集会(2017年11月18日 高山)